LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「―――小林さん、この録音の他に篤とあなたの夕べの事を証明するものありますか?」


滝沢斗希は、顔を覆っていた両手を外し、
テーブルの下へとその手を隠した。


きっと、悔しさから手を握りしめているのかもしれない。



「まさか、この録音だけじゃ、証拠にならないとおっしゃるんですか?」


「いえ。
後から出て来ても困るので」


なるほど、ね。


「証拠になるのか分かりませんが、
今も私の体の中に、沢山残ってますよ?
あなたの親友の、川邊篤のものが」


そう挑発的に笑いかけるが、
もう心が折れたように、滝沢斗希は私に目を向けるだけ。



「一応伝えておきますが、
ピルを飲んでいるので、妊娠の可能性はないです」


私は今も惰性で、ピルを飲んでいた。


眞山社長と別れて、もう必要ないのに。


けど、今回の川邊専務との事もそうだけど、
あの薬の売人の若い男の子も…。


ピルを飲んでいて、良かった。

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