LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「―――滝沢さんから、なんて聞きました?
私との結婚の事」


今の感じで確信したが、川邊専務は既に私と滝沢斗希との結婚の事を、聞いている。


「俺に乱暴されて落ち込んで泣いてるお前を見てたら、放っておけなくて、その場で結婚を申し込んでしまった、って。
自分がお前の事を幸せにしてあげたいって思った、らしい。
んで、それならば、と今回の俺との事も、お前は無かった事にしてもいいと。
んな、感じ」



そんな風に話したんだ。


「まさか川邊専務はそれを信じてらっしゃるんですか?」


「いや。
あいつはそんな善人じゃねぇし。
それに、お前は泣かねぇし。
あん時も…」


川邊専務の口にした、あの時に、また体が震える。


泣かない、かぁ。


私が最後に泣いたのは、いつだろうか?


「お前と斗希の結婚に完全に納得してるわけじゃねぇけど。
納得せざるを得ない程の弱味を、お前には握られてるし。
なんとなく分かってるのは、斗希に近付く為に俺はお前に利用されたんだろうな。
お前が斗希をどう思ってんのかは、分かんねぇけど」


「―――はい」


ごめんなさい、という言葉は、寸前で止めた。


きっと、謝ったらこの人は許してくれるような気がするから。


私は許されては、ダメだ。


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