LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
私の滝沢斗希の住むマンションへの引っ越しは、お盆休みの最終日になった。


お盆は、滝沢斗希は仕事や色々と予定があるらしく、
そこしか時間が取れないと、喫茶店で話し合った時に言われた。


その引っ越しが、滝沢斗希と入籍後、
初めての顔合わせとなった。


それどころか、婚姻届を出した事と、今日の引っ越しの事で、滝沢斗希とはLINEを少し交わしただけ。


本当に、結婚って紙切れだけで出来てしまうのだと、滝沢斗希とその希薄な関係を思う。


そして、その引っ越しは、前が押していて、と業者の都合で遅くなり、
その作業を終えようとする時には、21時を過ぎていた。


「これ、食べるならどうぞ。
後、風呂とかは勝手に使って下さい。
もし使い方とか分からなかったら、また言って下さい。
冷蔵庫の飲み物も、勝手に飲んで貰ってもいいので」


滝沢斗希は、部屋で荷解きしている私に、
パン屋で買って来たと思われる紙袋を置いた。


わざわざ、買って来てくれたのだろうか?

それを尋ねる前に、滝沢斗希はそのままリビングの方へと消えた。


滝沢斗希のそのマンションは、2LDKで、
玄関入ってすぐの部屋を、私に空けてくれた。


彼は、リビング横の部屋を、使うらしい。


私はテレビだけではなく、小さな冷蔵庫等も持って来ているので、
リビングの方へは、用がない限り立ち入らないだろう、と思った。


そんな風に、結婚して同じ家で暮らしていても、
滝沢斗希との関係は、冷めているというか、お互い、極力関わらない関係。


だから…。


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