LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「表裏一体…相即不離。
嫌いだから、結衣としたいのかも。
結衣に興味?
結衣も俺に対して、そうじゃない?」


表裏一体。


もしかしたら、私はこの男に対してそんな気持ちを抱いているのだろうか…。


憎みながらも、この男に愛のようなものを?


だから、私はこの男と結婚を…。



「どうしたの?
そんなに怖い顔してさ」


そう何処か私を馬鹿にするように笑っている斗希を見て、
冷静さを取り戻した。



「私は、裏も表もないから。
私は斗希が嫌い。
だから、あなたを不幸にしてやりたくて、私はここに居るの」


そう。


私のこの斗希を憎む気持ちに、裏もなければ、
含みもないはず。



「思ってたんだけど、俺を不幸にって、具体的にどういう事?
好きでもない結衣と結婚した俺が、不幸に見える?」


そう訊かれ、答えに窮してしまう。


「俺、結婚に何の憧れも持ってなかった。
今まで沢山の女性と付き合ったけど、誰もそこまで好きになれなかったから、
出来れば、誰とも結婚なんてしたくないって思ってて。
でも、俺もいい歳だから、周りも結婚しろとか煩くて。
だから、そろそろ適当な相手と、って思ってた。
そんな感じだから、結衣との結婚も俺的に特に不幸になったとか思ってない。
なんなら、結衣みたいな楽な相手と結婚出来て、ラッキーだったのかも」


楽な相手…。


多分それは、世間一般的な、一緒に居て楽だとかそういう意味ではなくて。

お互い、愛がなくて、楽だという事なのだろう。


愛だけじゃなく、夫婦としてその縛りも、私達はないに等しい。


きっと、私がそうであるように、
私が浮気なんかをしても、この人は怒りもしないだろうな。


「ガッカリした?
結衣との結婚で俺がダメージ受けてなくて?」

その勝ち誇ったような顔に、怒りがこみ上げてくる。


「いえ。
そう言って、離婚を促そうと、あなたの作戦かもしれないので」


その私の言葉に、さらにその笑みを深くしている。

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