LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「気になっていたんだけど、
結衣の両親に挨拶とかしなくていいの?」


その言葉に、動揺からか、箸を持つ手が震えた。


「―――大丈夫。
お盆に電話では、親に斗希と結婚した事を伝えたから」


それは、嘘ではなくて、本当の事。


伝えたのは、母親だけだけど、
父親にも伝わっているだろう。



「そう。
けど、普通に考えて、それだけでいいの?」


「うち、普通じゃないから」


これが、私ではなくて兄の結婚ならば、
相手を家に連れて来い、だけではなく、結納や、結婚式の事でも、母親は口を出したり、世話を焼いたり、
お金も惜しまず出すだろう。



電話で、斗希との結婚を伝えた時のあの母親の反応。


『そう。
けど、年末に優成(ゆうせい)の結婚式があるのあなたも知ってるでしょ?
それで忙しいから、あなたは式なんかしないでよ』


優成は、私の大嫌いな兄の名前。


別に、そんな風に言われなくても、
私は結婚式なんてするつもりなんてないけど。


「大丈夫。
式の予定はないよ。
一応、伝えておこうと思っただけだから」


『けど、急に入籍したって。
あなたもしかして、妊娠でもしてるの?
娘が結婚よりも先に子供が出来たなんて恥ずかしいから。
もしそうなら、堕ろしなさい』


「それも、大丈夫だから」


なんだか、もう笑うしかなくて。


その後、母親には嫌な言葉を色々と言われて、
適当な所で、その電話を切った。



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