LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
以前、斗希の事を色々と興信所に調べて貰った際。


何人かの女性と関係がある事が分かった。

ただ、そのどの女性とも交際はしていないみたいだと。


その時、並べられた写真の中に写る一人の女性に、見覚えがあった。


あれは、川邊専務の秘書となりすぐの頃。


「あのさ、今日、H百貨店行った後、少し寄り道していいか?
私用で」


「H百貨店営業本部の本部長の永瀬(ながせ)さんとの顔合わせが長引かなければ、問題ないかと」


この頃の川邊専務は、専務取締役に就任したばかりで、
主に挨拶回りばかりだった。

まだそれ程忙しくもないので、後のスケジュールも、余裕を持って組んでいるので、その川邊専務のお願いは問題無かった。


「今日、姪っ子の誕生日で。
いつも前もって送ってんだが、すっかり忘れてて。
だから、H百貨店で何か買ってそのまま姉貴の家に渡しに行こうと思ってな。
運がいい事に、H百貨店と姉貴の家近いんだよ」


「分かりました。
ドライバーにも事前にそう伝えておきます」


そして、川邊専務はその日、
H百貨店で買った、ゲームのソフトを持ち、その川邊専務のお姉さんの家を訪ねた。



川邊専務のお姉さんの家の近くで停めた車の後部座席で、
家の前に立ってチャイムを押している川邊専務を見ていた。


そういえば、川邊専務は川邊会長の子供だけど、
会長の奥さんとは血の繋がりが無かったな、と社内の噂を思い出した。


なら、その川邊専務のお姉さんは、
母親は同じの、種違いのお姉さんって事だろうか?


そのお姉さん迄、川邊会長の隠し子だという事はないだろう。


その複雑な川邊専務の家族関係には興味が湧いたが、
それを川邊専務本人に訊く事は出来ないだろうな。


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