LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「ワインだけじゃなく、食べなよ?
空腹で飲んだら回るから」


それは、あなたもじゃないか?と思うけど。


それを口に出さず、さらにワインを煽るように飲んだ。



「話があるなら、早くして?」


そう睨むと、眞山社長は少し困ったように口を開いた。


「川邊会長の娘との婚約は、うちの父親が勝手に決めた事なんだ。
だから、俺だって結衣とは別れたくなかったけど、仕方なく。
俺から別れを直接言い出す事が辛いから、滝沢君に頼んだんだ」


そんな言葉を信じる程、私は馬鹿じゃない。


少し前なら、そうやって都合の良い言葉に、縋るように騙されたかもしれないけど。


今私をそうやって冷静にさせているのは、
冷たく私を見る斗希のあの顔が頭に浮かぶから。


"ーーあなたも大人だから分かるでしょ?
遊ばれていたんだってーー"


そう言った、あの顔。


「話は、それだけですか?」


「ああ。ちゃんと俺の本心を知って欲しくて」


あなたの本心は、私の事なんて遊びだったくせに。


「じゃあ、私帰りますね」


立ち上がり、その場所から離れようとした時。


腕を、掴まれた。



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