LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「どうしたの?」

斗希に問い掛けられて、
素直に言うかどうか一瞬逡巡してしまった。


「―――うちの母親が。
今日、今から斗希連れて私の実家に来いって」


なんとなく、それに対して嫌な予感がする。


あの母親の機嫌の悪さ。


斗希に、一体何を言うつもりなのだろうか?



「俺は、いいよ。
今日予定ないし」


その斗希の答えは、あっさりとしていて。


断られても困るけど、そうあっさりオッケーされても、困る。


「うちの実家、ちょっと遠いよ」



そう言ってしまうのは、遠回しに斗希に断って欲しいと思う気持ちの現れなのかもしれない。



「K県のK市だったっけ?」


なんで知ってるの?と思ったけど、
この人の目の前で私も婚姻届に記入した。


その時に、本籍地を見たのだろう。



「遠いでしょ?」


もう一度、その言葉を繰り返す。



「そっち側、最近観光客多いよね?
高速も今工事で一部通行止めで車だとけっこう時間掛かるかな。
電車でいい?」


「え、うん…」


もう行く方向で話が進んでいて、
そう頷くしかない。






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