LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
電車で乗り換え等を含み、
一時間半掛かり、そこから歩いて20分。


約、二時間。


その道中、斗希は電車の中ではずっと本を読んでいて、
本を読みたいからこの人は車ではなく電車を選んだんじゃないかとさえ思う。


私の地元の駅に着いた時も、名残惜しそうに本を閉じていた。


長い道のり、やっと私の自宅へと着いた。


この辺りはほんの少しだけ田舎だけど、
駅前にはコンビニやアミューズメント施設もある。


海があるからか、観光客も多い。


私の家は、何の変哲もないよくある一軒家で、
築年数がそれなりに行っているからか、外観や中も古いけど、
この辺りは同じ古い家ばかり。


ちらほらと、建て替えている家も最近増えて来た。



私がインターホンを押すと、暫くして母親が玄関の扉を開いた。



「はじめまして。
滝沢と申します。
仕事の方の都合が付かなくて、挨拶に来るのが遅れてすみません」


そう言って、斗希は私の母親に会釈した。


今日の斗希は、一応私の親に挨拶をする前提で来ているからか、
きっちりとスーツを着ている。



「あ、いえ。
こちらこそ、挨拶が遅くなりました。
結衣の母の栄子(えいこ)です」


玄関の扉を開いた時の母親の顔は、
その表情に怒りが浮かんでいたけど。


斗希の顔を見て、その怒りがさっと顔から消えた。


それは、斗希の整った容姿に魅力されたからだろう。



「後、これ。
甘い物がお好きだと聞いたので」


そう言って、最寄り駅の和菓子屋で買って来ていた、羊羮の入った紙袋を、斗希が母親に手渡している。


「とにかく、狭い所ですけど上がってください」


母親にそう促され、私と斗希は私の実家に入る。

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