この夏、やり残した10のこと
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私がこの夏にやりたいことの一つ目は、「友達をつくること」だった。
どうしてって、私は友達が少ない。高校に入学してから、休み時間に話したりお昼ご飯を一緒に食べたりできる友達は、中学から一緒の薫しかいなかった。
それもこれも、私が人見知りでつまらない性格であるせいなのだけれど、今更変えようといったってなかなか難しいのだ。
「ねーねー、糸川さん。友達になってよ」
お昼休み。私の前の席に座る薫が振り向いて頬杖をつきながら、突然そんなことを言う。
糸川さん、というのは、私の後ろの席の女の子だ。髪の毛が茶色で、メイクもばっちりで、正直ちょっと怖い。
でも薫はきっと、私が「友達をつくりたい」と言ったから、代わりに糸川さんに話しかけてくれたのだろう。
「……友達?」
案の定、糸川さんは首を傾げて怪訝そうに私たちを見やる。
薫は「そ、友達」と頷いて、私に一瞬視線を寄越してから続けた。
「遥香が、友達欲しいって言うから」
「…………遥香って、」
糸川さんが私の顔を凝視して固まる。
もしかして、影が薄すぎて名前を覚えてもらっていないのだろうか。私は恐る恐る口を開いた。
「出雲遥香です。……わ、私と友達に、なってくれませんか」
私がこの夏にやりたいことの一つ目は、「友達をつくること」だった。
どうしてって、私は友達が少ない。高校に入学してから、休み時間に話したりお昼ご飯を一緒に食べたりできる友達は、中学から一緒の薫しかいなかった。
それもこれも、私が人見知りでつまらない性格であるせいなのだけれど、今更変えようといったってなかなか難しいのだ。
「ねーねー、糸川さん。友達になってよ」
お昼休み。私の前の席に座る薫が振り向いて頬杖をつきながら、突然そんなことを言う。
糸川さん、というのは、私の後ろの席の女の子だ。髪の毛が茶色で、メイクもばっちりで、正直ちょっと怖い。
でも薫はきっと、私が「友達をつくりたい」と言ったから、代わりに糸川さんに話しかけてくれたのだろう。
「……友達?」
案の定、糸川さんは首を傾げて怪訝そうに私たちを見やる。
薫は「そ、友達」と頷いて、私に一瞬視線を寄越してから続けた。
「遥香が、友達欲しいって言うから」
「…………遥香って、」
糸川さんが私の顔を凝視して固まる。
もしかして、影が薄すぎて名前を覚えてもらっていないのだろうか。私は恐る恐る口を開いた。
「出雲遥香です。……わ、私と友達に、なってくれませんか」