私は1人じゃない
杏衣を送ってから近くのカラオケで遊ぼうと誘われた。
俺は気分じゃなかったが凌から強引に連れ出された。
女6人に俺ら2人ってどういう比率だよ。
右にいる女は紗奈っていう名前でギャル感丸出しで金髪で香水の匂いがキツい。
初対面なのにベタベタ肩とか触って来るし、いつもは気にしないことが癪に触る。
左にいる美優って女は俺と何回か関係を持っている。
男を落とすのは得意らしいが俺だけは落とせなくて悔しいとか言ってたが、一生落とせないと諦めてくれて身体の関係に落ち着いている。
「蓮〜、今日は歌わないの?」
「あぁ、今日はいい」
「えー、蓮歌上手いから歌ってよ〜」
「喉の調子悪い」
「じゃこれが終わったらホテル行かない?」
「ごめんなまた後で」
「じゃー、紗奈と一緒にいない?」
「今日は無理」
「今日蓮冷たくない?」
「さぁな」
今日一気に杏衣に近づけたこと、杏衣の泣き顔を思い出してしまう。
周りの女に気を配れる余裕がない。
「凌わりぃけど今日帰る」
そう言うと女たちは「なんでー」「私も帰る!」なんて言い出す。
「俺だけで相手するのはきついなぁ〜」
「お前が全員連れてきたんだろ」
「そうは言っても蓮目的で来た人もいるんだよ」
小声で数え切れないくらい言われた言葉。
純粋に俺自身が気になって近づいた人やただの顔目的で来た人もいる。
でも俺はとっくに純粋では無くなったからどんな気持ちを持って近づかれても普通に恋することが出来なくなっている。
今カラオケにいる女達はどんな気持ちなのか知らないけど俺は今は全部断る。
「もしかして霧野ちゃん?」
耳元でそう囁かれて思わず凌の脇腹を殴った。
「痛いな〜!」
「お前が悪いんだよ、わかったんならもう帰る」