私は1人じゃない
一方的にカラオケから出てどこに行くかも決めずに彷徨う。
家には極力帰りたくない。
「水樹か?」
横を見ると数学の和藤がいる。
今年から俺のクラスの副担任らしい。
俺は殆ど教室に入らないし授業も受けていないから殆ど話したことがない。
和藤は両手に買い物袋を持ってパンパンに買い物をして帰宅途中に見える。
「家に帰る途中か?」
「まぁ、そういうとこ」
「夜遅いから気をつけて帰れよ」
「おう」
「先生、彼女でもいんの?」
「……いきなりどうした」
「なんかそんな感じがするから」
「残念ながらいないよ」
遠くから和藤の声が聞こえる。
「もしもし、電話に出てほしい、俺先に帰ってるから」
彼女いるんじゃないか。