私は1人じゃない
目が覚めると、身体は暖かくて、周りは暗かった。
大きなダークブラウンのクローゼットに、スーツが何着かハンガーにかけられている。
見たことがない光景。
「ここは……」
「起きた?」
目の前にいる初見の男性。
白いtシャツに下はジャージを履いている。
「あの……ここは…」
「俺の家」
「え?」
なんでその男性の家に私が?
なにがどうなってるの?
「昨日君が泣きながら気を失ってて、そのままにしておく訳にはいかないから、俺の家に連れてきたっていうこと」
「そうなんですか、」
過呼吸になって頭が痛くなっているのは覚えている。
それで真っ暗になる前、大丈夫!?と一瞬聞こえたような聞こえてないような、、
そう言われれば、目の前にいる男性の声に似ている。
ちょっと低めだけど通る声。
「体調は大丈夫?」
「まぁ、はい」
「ずっと倒れてて今まで寝てたんだ、記憶ないよね」
「えぇまぁ…」
「もう昼だから昼飯食べない?何食べたい?」
「いや、そんな…」
「ここは甘えていいから、それにそんなに俺悪い人じゃないから誘拐とかそんなことしないから怖がらないで」
怖がってる訳ではない。
ただ目が覚めたら知らない男性の家にいるしびっくりしているだけ。
「俺基本自炊しないから外食でもいい?」
お腹はぺこぺこだし、ここは甘えるしかない。
今初めて見た男性だけど、奢ってもらうしかないかな。
「はい」
「それじゃ行こう」