私は1人じゃない



「杏衣ちゃん、傷が痛んだらいつでも僕のところに来て、処置するし勇斗の方がいいかもしれないけど話も聞くから」



類は友を呼ぶ。


早坂先生も優しい。


「杏衣ちゃん、何も怖くないから、杏衣ちゃんの気持ちのまま動いてもいいんだよ」
「えっ……?」


「自分の気持ちが通らない時やしたいことが出来ない時もある、でもそれは自分の気持ちを言うのが前提。何でも行動して言葉に出さないと相手に伝わらないし自分のしたいことが出来ないよ?自分の人生なんだから人に合わせなくていいんだよ。杏衣ちゃん、今まで頑張ったね」



私の心にグサッと刺さる。


私は傷付くことが怖い。


人に頼って裏切られるのが怖い。


いくら周りが杏衣ちゃんは可愛いとかモテると言われても自分に自信がないから全然そう思わないし、逆にそう思わせておいて裏では可愛くないとか言ってるんじゃないかまで思ってしまう。


疑心暗鬼にも程がある。


だから自分の気持ちを意識的にまた無意識に塞いで、騙したりして今まで生きてきたし、悩みなんて誰にも言わないで全部1人で抱えてきた。



だから、「ちょっと話聞いてよ〜」


「一緒にどこか行こう〜!」


とか嫌、無理、と思っていたけど、実は羨ましかったのかもしれない。


いやよいやよも好きのうち。みたいな。


本音を語り合える友達がたくさんいて羨ましいな。


人の顔を伺わないでバンバン人に言えるの羨ましいな。


周りの人が羨ましいけど自分では出来ないから嫌とか拒絶してたのかもしれない。


でも、怖くない。


怖くない。


怖いかもしれないけど怖くないって思い込むんだ。



ママとは離れたしもう自由。


だからもう1歩勇気を出して自分の想いをなんでもいいから言ってみよう。


そうしたら、今までより何倍も楽しく生きることができるかもしれない。


< 117 / 315 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop