私は1人じゃない
勢いよくドアの開く音がする。
「勇斗遅い」
「仕事切り上げて来たんだけどな」
勇斗さんが来ると思っていなかったからびっくりした。
仕事終わりにすぐ来てくれたみたいでちょっと嬉しい。
「僕が呼んだ、目が覚めたし連絡すべきなのは同居人かなあと思ってね」
「言い方おかしい」
「事実だろ」
「お前に言わなきゃ良かった」
「今更後悔しても仕方ないよ、杏衣ちゃんとも仲が深まった気がするし、ね、杏衣ちゃん?」
「あ、はい」
仲が深まったかは分からないけど早坂先生のおかげで1歩踏み出す勇気が出たのは事実。
勇斗さんのことも色々知れたし、そういう意味では仲が深まったのかな、、?
「杏衣ちゃん、こいつ変なこと言ってないよね?アニメの話ずっとしたりしてこなかった?」
「僕にとっては職場、趣味の話出す訳ない」
「まぁそうだな、安心したよ」
「僕のことバカにしすぎ、杏衣ちゃんの傷を処置したんだからお礼を言って欲しいなあ?」
「ありがとうございます、早坂先生、お世話になりました〜〜」
「心がこもってないなあ」
黙って見ていたけど、私がお礼すべきだよね。
私の傷を処置してもらって、ここまで優しくしてもらったんだから。
「早坂先生、ありがとうございます」
「ううん、当然のことだからいいんだよ」
「俺と杏衣ちゃんと態度違いすぎない?」
「患者さんに優しくするのは当たり前」
「うわーーひどいなぁ」
早坂先生の前だとめっちゃ喋る勇斗さん。
普段喋らない訳じゃないけど、普段はうなづいたり本当にのほほんとしているから早坂先生と本当に親友なんだろうなあ。
「ひどくない、そろそろ僕は行くよ診察がまだあるからね」
「分かった、また何かあったらよろしくな」
「杏衣ちゃんのことは任せて、それじゃ杏衣ちゃんまたね」
「……はい!!」
早坂先生と出会えて良かった。