私は1人じゃない
「ここ俺がよく言ってる定食屋なんだ」
やっぱり申し訳なくなって車に乗ってから「私が作るので家で食べませんか?」と言ったら、
「まだ病人なんだからやめて」と謎の優しさを出され半ば強制的に連れてこられた。
町の定食屋という感じでいろんなメニューがある。
「生姜焼き定食とラーメン」
「カキフライ定食で」
「ここよく来るんだよ、美味しいから」
「ありがとうございます」
「それと敬語はやめて欲しいな、堅苦しいの嫌いなんだ」
そう言われても絶対私より年上だし、年上の人には最初は敬語なの当たり前。
「でも…」
「お願い」
「分かりました」
ちょうど、注文したメニューが来て2人で食べる。
定食とラーメンとは男性はよく食べるんだなあと思いつつカキフライ定食を一気に食べ終わった。
「もっとなんか食べる?」
「いや、いいです」
「あっそ、なんか足りなさそうな感じしてたから」
「大丈夫です…」
なんで気付かれたんだろう?
ずっと食べてたと思ってたら私のこと見てたのかな?
それともずっと食べてないだろうと思って気遣ってくれたのかな。
そう考えていると、前のテーブル席に座っている小さな女の子が泣いてるのをお母さんが抱きしめて大丈夫だからね、と言って背中をさすっている。
私はこれぐらいの女の子の年齢の時にこんなことされたのかな。
最後に抱きしめられたのはいつかな。
あぁ、また泣いちゃう。
馬鹿だなあ私。
ママから酷いことをたくさんされたのにまだ何かを望むなんておかしいおかしい。
「どうした?また顔赤くなってる」
「ごめんなさい、何でもないです」
「もう行くか」
「あ、はい」