私は1人じゃない
門が開いてダッシュで玄関に入る。
杏衣のお母さんは杏衣似でとても綺麗な方。
暴力を振るう人に見えない。
人は見かけによらない。
「あの、杏衣はまだ帰ってこないので杏衣の部屋で待っててもらえますか」
「霧野さん、リビングにいますよね、すいません勝手に入ります」
「ちょっとなにを……!」
リビングに行くと、服などが散乱していて酒臭い。
大きいソファーで持たれながら酒を飲んでいる男性がいる。
「誰だお前」
「霧野さんの学校の者です」
杏衣ちゃんは、ダイニングテーブルの影に倒れていた。
「あ、霧野!!!」
「何をするんです!!」
杏衣ちゃんのお母さんが大声で叫んで倒れている杏衣ちゃんを隠そうとする。
倒れている娘を放ったらかしにするってどういう神経をしているんだ。
「霧野さんからお母様からされていることについて相談されていました。それで耐えられなかったら電話か連絡をしてほしいと言ってました、それで来たんです。学校に報告しなくても構いません、でも霧野さんを病院に連れて行きます」
「第三者が何をするんだよ!!」
霧野さんのお母さんの再婚相手である人から1発殴られる。
唇が切れて思ったより痛い。
「第三者でも人を助けるのは当然です、人として、教師として生徒が苦しんでいるのに見て見ぬふりは出来ません!」
久しぶりに大きい声が出た。
2人を避けて杏衣ちゃんを抱っこして病院に連れていく。