私は1人じゃない



「杏衣ちゃん、杏衣ちゃん!!」


杏衣ちゃんは完全に気を失っている。


呼吸も浅いし結構やばい。


車を走らせる。


「もしもし、雅紀今暇?」
「暇って仕事中だよ」


「急患見てくれるか」
「誰?あー、もしかして」


「そう、杏衣ちゃん、親からまたやられて呼吸浅いし全然目が覚めない」
「それは救急車だろ」


「無理なの分かってるだろ、今お前の病院に向かってるからすぐ見てくれ、絶対だ」
「分かった、準備している」


杏衣ちゃんごめんね、来るのが遅くて。


チラッと見るだけ明らかに多くてひどいアザ。


2時間ものの間ずっと耐えてたと思うと心が痛い。


ずっと助けてと言いたかったはずなのに我慢して耐えて……


我慢しなくていいのに、頼って欲しいのに、


甘えてほしいのに。
< 126 / 315 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop