私は1人じゃない



病院に着いて2時間。



「終わったよ、まず一命は取り留めたけどお腹の傷が深くて胃までやられているからしばらく絶対安静だし目覚めるまで時間かかるかも」
「そうか…ありがとう」


「また親にやられたのか」
「会いにこいと言われて行ったらされたんだよ」


「そうか、最低だな」
「そうだな」


「こんなこと言っていいかわからないけど親に会わせない方がいいよ」
「そうだな、杏衣ちゃんがこれ以上傷つくわけにはいかないからな」


「一緒に暮らしているんだから、守ってやれよ、こんな可愛い子が体はアザだらけって、、漫画にある展開でも辛いわ」




『守る』ってなんだろう。


どういうことをしたら杏衣ちゃんを守ることになるんだろうか。


「俺どうしたらいい」
「いきなりなんだよ」



「俺は杏衣ちゃんを守れるか分からない、杏衣ちゃんにとって俺は頼りないんじゃないか」
「………勇斗の悪いところ出てる」



「あー………」


俺の悪いところ。


「いきなりネガティブになる」


「優柔不断」


相手のことや自分のことを考えすぎる余り、優柔不断すぎて逆に人を傷つけたたり優しさが裏目に出たことが数え切れないくらいある。


「どう守ったらいいか分からないじゃない、もう分かってるはず。それに勇斗は杏衣ちゃんにとって頼れる人だと思う」
「そうか?」



「嫌だったら勇斗と一緒に暮らさないだろ、今時の女子高校生は敏感だからな〜〜」


暮らし始めは気を遣ったり若干の距離感があったけど今はタメで気軽に話しかけてくれるし、学校ではあまり話せない代わりに今日の出来事を話したりして結構楽しく過ごせているはず。



< 127 / 315 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop