私は1人じゃない
「悩んでも仕方がないんだから思いのままに杏衣ちゃんに接すればいい」
「思いのままってなんだよ」
「好きなんだろ、杏衣ちゃんのこと」
「な、何言ってんだよ!」
また声を荒げてしまった。
杏衣ちゃんのことになると頭が回らない。
「その反応が認めてるもんだよ」
「認めてない………生徒だよ」
「生徒だけど女子でもあるからなあ〜〜」
「あのな、杏衣ちゃんをそういう卑猥な目で見たことは1度もない、いくら男でも理性は保ってるからな」
「理性は保っていても気持ちは傾いているんだろ??」
「うざいって」
なんとか押しのけるけど、気持ちを隠しても、隠した気持ちが本音。
俺は杏衣ちゃんが好き。
今弱ってるから、ただ守りたいから好きという気持ちが芽生えたんじゃない。
きっかけとかない。
ただ一緒に居てご飯を食べてる姿。
髪を溶かす姿。
ホラー映画を見て怖がる姿。
いつの間にか1つ1つの言動に目を留めていて、
いつの間にか俺の心の片隅に杏衣ちゃんがいて、その割合がどんどん大きくなっていっている。
でも忘れてはいけない、杏衣ちゃんは生徒、俺は教師。
その立場だけで考えれば気持ちを伝えることより、捨てることを頑張らなければいけない。
でも、寝顔を見ると………理性崩れそう………。
「はいはい、もう仕事に戻るよ、ずっと顔でも見てな」