私は1人じゃない
杏衣ちゃんが目覚めたと雅紀から連絡が来た。
嬉しくて早く会いたくなって、明日の授業で使うプリントを作ってる途中なのに、どうでも良くなってパソコンを閉めて、病院に向かう。
誰かが俺の名前を呼んだ気がするけど気にせずに車を走らせる。
「遅い」
杏衣ちゃんの病室には雅紀がいて、手当をしていた。
杏衣ちゃんは、少しやつれているけど笑顔が見えて安心する。
雅紀とベラベラ喋ってた後、杏衣ちゃんはかわ弱い声だけど大丈夫だと言ってくれた。
そして、俺に抱きついて来た。
「どうしたの杏衣ちゃん……」
今まで我慢して来た心臓が飛び出そうだ。
これは理性持たない。
どれだけ傷があっても平気なふりして強く生きてきた杏衣ちゃんが本当に弱い部分をやっと俺に出してくれたのは嬉しい。
でも、心臓が持たない。
きつく抱きしめると杏衣ちゃんも応えるようにもっと密着してくる。
男なら、、、このまま襲うと思うけどここは病院だし杏衣ちゃんを大切にしなければいけない。
我慢だ……………我慢。
今まで我慢できたから我慢できる、俺。
しばらくして離れると杏衣ちゃんは上目遣いで俺を見てくる。
その目だけで男を誘える危険すぎる目。
杏衣ちゃんは誘ってるつもり全くないだろうし、今まで寝ててもメンタル的にやられて疲れたんだと思うからそういう目をしていると思う。
俺だけが性的に考えてしまってるだけ。
家ではどうなる。
もう杏衣ちゃんを離せない。