私は1人じゃない




退院しても腕は包帯だらけで足も歩くのがぎこちないほどに痛い。


幸い骨折していないからよかったけど、しばらく安静という早坂先生の指示で学校から大量のプリントを貰って家でこなす毎日。



「杏衣ちゃん、起きた?」
「え!!」


自分の部屋で勉強しているのに忍び足で私の部屋に入って驚かせて来た勇斗さん。



朝から心臓がバクっといってしまう。


私が退院してから勇斗さんは私が驚くようなことを仕掛けて来たり、少し目が合う時間が増えた、気がする。


私の気にしすぎなのかもしれない。


「起きた……ていうかびっくりした……」
「ごめんね、朝から」


「どうしたの?」
「今日大学の友達と1日遊んでくるから、朝顔見ようと思って」


「そうなんだ…」


前はそんなことがあっても部屋に来なかったのに、私のことを心配してくれているのかな……。


「ね、大学の同期って早坂先生?」
「違うよ、別の人、雅紀がよかった?」


「そういうことじゃないけど、早坂先生かなぁ〜って気になっただけ」
「今度3人でご飯でも食べようか?」



週1で早坂先生に手当てとメンタルヘルスの話をするけど、優しくてたまに面白いから先生として好きだからご飯食べれるのは嬉しい。



まさかの勇斗さんからの提案に朝からテンションが少し上がる。



「うん!」
「雅紀に伝えておく、じゃ行ってくる」
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