私は1人じゃない



「蓮、今日遊ばない?どうせ授業受けないっしょ?」
「俺パス」



「里美ちゃん来るんだよ?」
「もっとパス」


「里美ちゃんとずっとつるんでたのにいきなり冷たくしたら里美ちゃんが可哀想〜〜」



杏衣が現れてから里美とは連絡を取らなくなったし、女と遊ぼうとも思わなかった。


俺にとって杏衣はなんだ。


なんでこんなにあいつが俺の心に入ってくる。


どうして杏衣が俺と似ているようにしか見えないんだ。


「凌だけで遊んで来いよ」
「………僕には全部言って欲しいな」


「何をだよ」
「今蓮が思ってること、と言っても俺にはバレバレだけどね〜〜!」


「当ててみろ」
「霧野ちゃんが気になる〜!なんで俺があいつを気にしちゃうんだ〜!!」


大袈裟なジェスチャー付きで表現する凌。


ムカつくけど図星。


小学生の頃からずっと一緒にいる凌には何も隠せない。


「で、その気になっちゃう理由、分からないなら教えてあげる、蓮は霧野ちゃんのことがす……「うるせえ」」


「もう自分で分かっちゃってるじゃん」
「……うるせえ」



「もう静かにするから、自分に嘘つかないでよ、僕は蓮が恋をしてるところを見れるのは嬉しいよ?」



凌の方が俺の気持ちを分かっている。


凌の言うとおり。


俺が杏衣を気になっているのは、


杏衣が好きだから。
< 147 / 315 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop