私は1人じゃない
朱莉と雑談をしていると、廊下がざわめいている。
教室の廊下側の窓から見えたのは、蓮と凌。
制服を着崩して、蓮に至っては髪を切ったからかピアスの穴が完全に見えている。
ほぼヤンキーに見える(いや、ヤンキーか??)けどカッコいいのは事実。
後で校則違反で先生に呼び出されそうだけど、いとも簡単にかわしそうな絵面が想像できる。
「蓮くん、かっこいいね!」
「凌くんも前よりイケメンになってない!?」
「2人ともかっこいい!」
「私なら蓮くんかも〜!!」
私のクラスだけではなくて、廊下にいる女子、隣のクラスからの声(ほぼ悲鳴)も聞こえる。
女遊びが激しくてすぐに襲うとかいう人なのに、どこがいいんだか分からない。
でもあの時会った蓮は違った。
本当にわたしを見てくれている気がした。
でも私はもう漣以外を見てしまっているから周りの女子みたいにキャー!とはならない。
と思ったら、いきなり教室がキャー!と悲鳴をあげている。
びっくりして周りを見ると、蓮と凌が教室に入っている。
目が合ってしまって、そのまま蓮と凌は私の席に近づいてくる。
今なら逃げられる。
でも蓮があの時のように目線を離さない。
まるで「逃げるな」と言っているかのように。
だからか足が動かなかった。