私は1人じゃない
今クラスメイトの視線は私の席に集まっている。
1人もスマホや読書すらしてない。
なにこれ。
流石に緊張するよ……。
そんなに注目しなくてもいいと思うけど……。
「おはよう杏衣」
「………あ、うんおはよう」
「霧野ちゃんおはよう!」
「……凌もおはよう」
「ねぇ、蓮くんが呼び捨てしてる!」
「この2人付き合ってんのか!!」
蓮が私を呼び捨てにしただけで、付き合っていると憶測するクラスメイト。
憶測でありもしない事実を作るのはやめて欲しい、まだ何も言ってないし、付き合ってない!!
とハッキリ言えば収まるのかもしれないけど今はそんな勢いよく言葉で出るほど身体は動いていない。
「杏衣、もう調子はいいのか」
「う、うん、おかげさまで」
蓮が私の腕をじっと見る。
ブレザーを着ているから分からないというのに。
「足は大丈夫みたいだな」
「う、うん、ありがとう」
「蓮〜早く用件言ってよ〜みんなから見られてる」
「あぁ、」
凌、ナイスアシスト。
普段は目線とか気にしないけど誰一人もこっちを見ていない人がいないのは流石に息がしづらくて早く開放されたい。
でも蓮はいつも注目を浴びているからか何も気にしていない様子。