私は1人じゃない
「朱莉、説得しに行きたいから一緒に説得して欲しい」
「私が!?」
「朱莉がバサッと言えば付き合ってるって噂も消えるだろうし」
「私、あの2人と話したことすらないんだよ」
「でも私のことを思ってさー、お願い!」
手を合わせて祈ると、朱莉は目を細めて、
「もしかして出来ちゃった?」
「え、なにが」
「好きな人」
「ま、まさか!」
「えー、怪しいな、杏衣は人にどう思われようが気にしてなかったのに今回はすごい反応するから」
「それは付き合ってるとか根も葉もない噂が出るからしかも蓮とか…………ありえない」
「だからそれがおかしいんだよ、誰でも付き合ってるとかキスされたとか告白されたとか噂されても“そんなのいつか消えるから気にしない”なんて言ってたのに、そんなに噂が広まりたくない理由あるんじゃないの?」
理由、噂されたくない理由………
蓮が好きな人たちから変なことされたくないから。
あとは………
和藤先生の耳に入って欲しくないから。
なんでそう思っちゃうの。
なんで和藤先生を気にするの。
これは私と蓮との問題で、和藤先生を気にしなくていいのに。
でも和藤先生に勘違いして欲しくないって思ってしまう。
蓮とは付き合ってないんだよ、
私が好きなのは、勇斗さんなんだよ………。って…………。
これが噂が嫌な理由ーーー………。