私は1人じゃない



「そーいえば、杏衣ちゃん」
「うん?」



「俺、修学旅行行くことになった」
「え、そうなんだ!」


内心嬉しい。


蓮のせいで修学旅行をサボろうかと思ったけど勇斗さんが行くなら話は違ってくる。


修学旅行に行くっきゃない。



「副担任は学年で2人しか行けないんだけどたまたま俺が選ばれたんだ」
「そうなんだ」


「嬉しい?」
「え?」


嬉しいと素直に言っていいのか分からない。


言ったら勇斗さんがどう思うかなんて考えたら、口が止まってしまう。


でも嬉しいか嬉しくないかだったら、


「嬉しい」


その方が勇斗さんも嬉しい……はず。


「ウフッ、杏衣ちゃん可愛いね」


………いやいや、照れ隠しで俯いていたけどニコって笑ってる勇斗さんの方が可愛すぎるし、



さりげなく頭ポンポンするし、


蓮の時とは違う意味で緊張するし、ドキドキする。
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