私は1人じゃない




職員室に戻ると、もう杏衣ちゃんと水樹が付き合ってるって学年の垣根を超えて先生たちが喋っている。



学年、いや、学校で1番美形な男女が付き合っている“らしい”から噂が光のスピードなのも渋々頷ける。


でも俺は今は信じたくない。


杏衣ちゃんにさりげなく聞いて本当だったら、……………その時は時間をかけて受け止めればいい。


杏衣ちゃんは高校生。


高校生の男子と付き合うのは自然だし、やっと愛してくれる人が出来たんだね、って思えばいい。


俺の気持ちは二の次で、杏衣ちゃんが幸せになってずっと笑ってくれればそれで俺は満足。


だけど、自分でも驚くくらい俺が杏衣ちゃんを好きで好きでしょうがなくて、


杏衣ちゃんを水樹から取られたくないと思ってしまうのも事実。


もし俺と杏衣ちゃんが、『生徒と教師』の関係性がなかったら、俺は感情のまま動いていたと思う。


でも生徒と教師という関係がある以上、簡単に好きだと言えない。


あー………杏衣ちゃんが生徒じゃなかったら、


これも運命のいたずらかな。
< 181 / 315 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop