私は1人じゃない



勇斗さんと一緒に暮らし始めてから2週間。



掃除は勇斗さん、料理は私、洗濯はやりたい方がやるっていうルールだけ作って意外と楽しく過ごせている。



私は学校に行ける気力がまだ出ないから、ずっと勇斗さんの家にいるし、勇斗さんももうそろそろ働くとのことで、




いわゆるずっと2人で家にいる。



正直、まだ気を使う部分はあるけど、やりたいことなんでもしていいからと優しすぎる言葉を貰ったからママがいる時より何倍も楽しく過ごせてる。


料理担当は私だけど、朝起きるのが苦手な私の代わりに朝は勇斗さんが作ったご飯を食べて昼と夜は私が作るか外食するかの2択。


と言っても基本料理ができないらしいからパン焼いて牛乳というシンプルな作業(?)なんだけど。



それでも美味しいからよし。



そして、ずっと家にいて映画を見ることもあれば、ショッピングモールに行くこともある。


勇斗さんは、私が高校2年生であることだけを聞いてきてそれ以外は何も聞いてこない。



どうしてあの日泣いていたのか。



どうして家に戻ろうとしないのか。


ママとパパに連絡しなくていいのか。


高校に行かなくていいのか。



何も聞いてこない。



勇斗さんは高校教師なのに学校に行けなんて言ってこないし、「自由にしてていからね」の一言だけ。


勇斗さんに体の傷は見せてないけど、勇斗さんは気付いているはず。


その傷を見て心も傷ついているって、何かの事情があるって思っているはず。


だからこそ聞かないでそっとしてくれているんだと思う。


自由にして自然と傷が癒やされること。


これが勇斗さんの気持ちなのかもしれない。


それが私にとってはありがたい。


でもお世話になっている勇斗さんには、話すべきだと思うけど、今はまだ話したくない。

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