私は1人じゃない
「…………杏衣!!!」
目を開けて声がした方を見ると蓮がいた。
もう寒さと心が疲れて濡れている砂利道に座り込んだ。
「大丈夫か?」
「………うん」
「お前らこいつになにした?」
「蓮くん違うの、これは……誰かが杏衣ちゃんに叩かれててそれを私たちが助けたの」
蓮の前ではいいい人ヅラするんだね、そうだよね好きな人の前だからあんなことしたって素直に言えるわけない。
「嘘つくなこのクズどもが、お前らがしたんだろ」
「違う、本当に違うの………!」
「里美、一生俺と杏衣に近づくな、近づいたら俺がお前らをボコボコにする」
狭い路地に響き渡るような不機嫌で重い声。
真ん中にいる人は里美っていう名前の子で声を出して泣いてる。
「泣くなうざい消えろ」
「………蓮、やめて怖いよ………」
「お前らがこんなことするからだろ」
「杏衣ちゃんより私を選ぶの!?私の方が蓮と長く一緒にいたんだよ……!」
「だからなんだ」
「…………」
「里美より杏衣の方が何十倍もいい女だから、お前の顔すら見たくない、杏衣、行くぞ」
蓮のブレザーを私の肩に掛けて、肩に手を回して路地を抜け出した。