私は1人じゃない
「杏衣ちゃん、シャワー浴びていいよ」
「はーい」
シャワーを浴びると今までの傷が、見えてシャワーはできればしたくない。
といってもしないわけにはいかないから、早く済ませるのが私のシャワースタイル。
上がると、勇斗さんが上半身裸でソファーに座って映画を見ていた。
「あっ」
思わず目を背ける。
「ごめん、今日暑くてさ、服着たくないと思ったんだよね、今すぐ着るから待ってね」
一瞬しか見てないけど結構腹筋が割れていた。
ジムに行ってるとか聞いたことないけど鍛えてたりしてるのかな。
可愛い顔にバキバキの腹筋って、、
結構ギャップ萌えする。
「はい、いいよ、顔上げて」
シンプルな白シャツを着ている勇斗さん。
「結構シャワー早いんだね」
「そうかな」
「勇斗さん、腹筋割れてた」
「最近はしてないけどね、去年とかはジム行って鍛えてたんだよ」
「そーなんだ、意外」
「よく言われる、可愛い顔して男っぽいなって」
「そう言われれば勇斗さんが俺って言うのも意外」
「気づいたら“俺”だったなぁ〜」
「勇斗さん、僕”って言って」
「なんで、恥ずかしいよ」
「恥ずかしくないよ、みんな言うよ」
「…………僕」
少し顔を赤くしながら僕って呼んだ勇斗さん。
その姿少し可愛らしくて、不意に笑ってしまう。
「………フフッ、アハハハッ」
「そんな笑うところじゃないでしょ」
「ごめん、可愛い勇斗さん」
「男に可愛いとか言っちゃダメだよ」
急に少し低くなる声。
そういう声で喋っている時は勇斗さんは真顔で喋ってて本音で喋ってるとき。
冗談なんかじゃない、全て勇斗さんの本音を喋っている時だと2週間で気づいたことの1つ。
「ごめん」
「そんなに申し訳なさそうな顔をしないで、大丈夫だから」
「本当?」
「本当、杏衣ちゃんにはずっと笑ってて欲しいから、ね?一緒に映画みよう、面白いコメディ映画」
勇斗さんといると心の底から笑える気がする。