私は1人じゃない
「岡田先生、帰りたいの?」
「一刻も早く帰りたい、早く寝ないと修学旅行では休めないっすよ〜!」
「修学旅行楽しくない?」
「楽しくないっすね、教師でも観光できると思ったけどずっと先生として気を張るから疲れちゃって彼女と旅行した方が数十倍マシだってことが分かりましたっ!」
「そりゃそうだよ、彼女と旅行の方がいいと思うけど、、岡田先生、彼女いるんだっけ?」
「あれ、言ってませんでした?俺1ヶ月前に彼女出来ましたぁ!!名前は咲(さき)ちゃんって言います!」
咲ちゃんの写真を見せてもらうと黒目の面積が大きくてハーフっぽい顔立ちをしている。
「可愛いね」
「可愛いって言うのは俺だけですよ!もう世界一可愛いですよね!!」
声が大きいよ。
彼女が世界一可愛いから可愛すぎて興奮しているのか、ただ酔ってるのか分からない。
多分どっちも。
「その子とどうやって知り合ったの?」
「ナンパ」
「ナンパ?」
「ちょー可愛いから俺とご飯食べないって言って誘ったんですよ、最初は断れたけどアタックしまくって何とかご飯食べてそこからアタックしてやっと先月付き合えたんですよぉー!」
「すごい攻めたね〜」
「好きなら好きって言って隠さずにアタックしないと何も進まないですよ〜!」
「………付き合ってはいけない人でも?」
「そんな人存在します?壁が厚くても愛が有ればなんとかなりますって!!」
後輩くんからすごく力強い説得された。
“付き合ってはいけない人”はいないか……。
杏衣ちゃんと俺、付き合っていいのかなぁ……。
”先生と生徒”の関係性を超えていいのかなぁ……。
「なんとか、ね〜〜」
「そうですそうです!!咲ちゃん高校生だし俺もイケナイ恋しちゃってますよ〜」
「えっ!?!?」
次は俺が大きい声を上げてしまって居酒屋にいるお客さんの目が俺に集まってる。
「和藤先生、静かに!!」
「ごめん、コウコウセイ?」
「隣町の高校生ですよ?でも今年高3だから卒業してからでもいいかなぁと思ったんですけどどうしても離したくなくて咲ちゃんの親にも了承を得てちゃんとしたお付き合いをしてます〜!
あ〜咲ちゃんに会いたい〜!!」