私は1人じゃない




「霧野さん?」


「霧野さん??」


「杏衣ちゃん、和藤先生呼んでるよ!」
「あ、うん」



七瀬ちゃんの声でハッと気づいた。


教室のドアに和藤先生が立っている。


七瀬ちゃんとは修学旅行が終わってからもクラス内で話すようになった。


ほとんど凌の話だけど。


今は連絡先をやっと手に入れて毎日メールのやりとりをしていてウキウキしていながら笑顔で話すからこっちまで明るい気分になる。


ドアまで行くと、和藤先生が微笑んで、


「今日霧野さんが日直だよね?」
「はい」


「数学係がお休みだから数学の課題を放課後持ってきて欲しい」
「分かりました」



「放課後待ってるね」


耳元で囁かれた。


「じゃ、よろしくね」


最後に頭をポンポンされた。


これだけで体温が上がっていくのがわかる。



学校でされたことがないからドキドキしてしまうじゃん………


それに少しニヤけた気がするし、勇斗さん楽しんでない?


私は勇斗さんの気持ち抑えるの大変なのに。



でも勇斗さんが好きだなぁって背中姿を見て実感する。

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