私は1人じゃない



「勇斗さんってモテてますよね」
「いきなりどうしたの」


「いや、何となく思って……」
「杏衣ちゃんよりはモテないよ」


「何人から告白されたことあるの?」
「えー、それ聞く?」


「うん………」
「小さい頃から含めれば数え切れないかなー、モテ期もあったし」


勇斗さん、ずっとモテ期な気がする。


聞かなきゃよかったって後悔した。


「そうなんだ……」
「急に気になった?」


「う、ん……女性からモテてるな〜って思ったから」
「杏衣ちゃん、嫉妬してる?」


「え………?嫉妬……?」
「そんな訳ないよね、でも可愛いよ」



可愛い可愛いって言われて前は嬉しかったけど、今はただ単純に私の気分を取るために言ってる気がしてならない。


「可愛くない」
「ううん、杏衣ちゃんは可愛い」


「………やめて」
「やめないよ、可愛い」


頭をポンポンされて、可愛い可愛いと言っている勇斗さん。



「勇斗さんは私のこと大人に見える?」
「………杏衣ちゃんは子どもでしょ?」



子ども……。


私は子ども。


私は17歳だし正真正銘の子ども。


未成年なんだから子ども。


でも子どもに見られてるってことは私は勇斗さんにふさわしくない……


そう思うと涙が出そう。


「杏衣ちゃん、どうしたの?」
「ううん、なんでもない」



「何かあったら俺になんでも言ってね?」
「うん、ありがとう」


今、すごく泣きたい。


でも理由を言えば勇斗さんに嫌われそうでなけなかった。


こんなこと言えないよ……。


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