私は1人じゃない
好きな人の話から杏衣を好きになったきっかけを話して、いつの間にか家族の話と背中にある傷とタトゥーを見せてしまった。
背中は行為をする時に女に見せざるを得ないから見せてるがその時なにこの傷と聞かれるから、
「俺が生きてきた証」
とかっこよく誤魔化してたけど本当の理由を言ったのは凌と杏衣だけ。
生まれてすぐに漢字やアルファベットから勉強させられて遊ばず勉強してきた俺はまぁ頭よかった。
でもそれで満足しない親父と、
勉強しても俺より成績が上がらず、会社を継ぐのは俺だと思って焦って、俺をダメにしようと成績表の改ざんをして親父を怒らせたり、俺の教科書を破ったりしていじめてきた蒼。
俺は小さい時は親父しか大人がいなかったし見えなかったから従った。
でもみんな遊んで楽しんでて羨ましかった俺は勉強なんかクソ喰らえだと思ったし、親父の執拗なしつけと蒼のいじめに耐えられなくなった俺は中学生に上がる頃、母方の親のデカい実家に行った。
おばあちゃんとおじいちゃんが株で成功して大きすぎる家に住めることになったけど俺が勝手に来ても何も言わずに受け入れてくれたことは今でも感謝してる。
それから俺は自由を手に入れた。
勉強もせずにずっと遊び続けた。
優れてるルックスで女が寄ってきて体の相手ばかりしてきた。
心に空いた寂しさを埋めようとしてたんだろうな。
でも今思えば違うと思うが、あの時の俺だったら仕方がないだろうな、と思う。
杏衣に出会ったから前の俺はダメだなと思った。
こんなにも一途に愛せる女は杏衣だけ。
だから和藤だろうが先生だろうが関係ねえ、俺に振り向かせる。
杏衣に告白した時に言った、「俺の全てを知って欲しい」
これ変わってねえから。
だからタトゥーのこと、家族のこと全て言った。