私は1人じゃない




七瀬ちゃんが僕のことを好きだということは修学旅行の時に気づいた。



前から七瀬ちゃんから話しかけられてはいたけど、クラスは違うし廊下ですれ違う時だけだったけど、修学旅行の時は2人での行動もあってすごいわかりやすかったんだもん。


照れるのに言葉はすごくストレート。


「カッコいいよね〜!」


とか、



「金髪似合うよね!」


とか褒め言葉をバンバン言ってくるんだから流石に言われ慣れてる俺でも照れたし心に響いたよ。


でもずっと彼女を作らなかった僕にとって、好きという気持ちを知らない僕にとって、七瀬ちゃんを好き、付き合うなんて考えにならかったんだよね。



でも連絡先を交換して、毎日連絡を取ってたのに七瀬ちゃんが、肺炎になって1週間連絡を取れなかった時があったんだよね。



その時、寂しい、声が聞きたいと思ったんだよね。


女の子に対してそういう気持ちを持ったことがなくて、3個上のお姉ちゃんに相談したの。


ちなみに名前は凛だよ〜


「恋だろ!恋!!いい加減彼女作れボケ!!」


5個上のお姉ちゃんからは、


ちなみに名前は楓ね。


「やっと弟を恨まない時が来てよかったわ、もう女の子を泣かせんじゃないわよ!」


っていうまさかの恨んでたってことが発覚してしまった。


これが恋か〜と思いつつも僕からなにもしなかった、いやできなかった。


なんで僕なの?


僕が特定の女の子を好きにならないと知っているのにどうして?


七瀬ちゃんもそれ分かっててなのかな?って。


でも、それは失礼な疑問だった。


「わたしは凌くんに振り向いてもらえるように頑張るからね!」



「辛いけど泣かないから、こういう人を好きになったのは自分だから」


素直すぎ。


ピュアガールすぎて僕を好きになって黒くならないか不安になったよね。


素直になることと誰かを本気で好きになることは僕にとって高い壁だからさ、それを諦めたくて、七瀬ちゃんにひどいことを言ったしひどいことを言わせたと思う。



「私のことどうしてもいいよ」


なんて聞いた時は悲しくなった。


好きなのに僕が振り向かないから僕のことを考えて、柄でもないことを言わせてしまったと思った。


僕も僕で色気がある子しか抱かないなんて大ウソついちゃったし。


七瀬ちゃんは抱けない。


すぐに簡単に抱けないんだ。


手が出ない。


簡単には出しちゃいけないと僕のあたまがそう言ってるんだーーー………

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