私は1人じゃない


勇斗さんが先生だと分かって学校に行きにくい。


流石に偶然の流れとはいえ、一緒に住んでいる人が先生だって誰にもバレるわけにはいかない。


学校の近くまで来るまで送ろうか?と言われたけど誰かに見られたらまずいから断った。


勇斗さんはただの同居人。


意識しなくていいのにばれちゃダメだと思うからか意識してしまう。



「杏衣、杏衣?」
「え?」


「何度も呼んでるのに何考えていたの?」
「ううん、なんでもない」


「そう、私今日桜介と食べるからごめんね〜」
「分かった」


朱莉はたまに柊木と一緒に食べることがある。


彼氏と食べることはいいことだしそういう時は私は殆ど保健室で食べる。


でも保健室に行くと真壁先生が出張で保健室が空いていない。


「霧野さん?」
「ゆう、、和藤先生」


シャツ姿の勇斗さんは教師感が出ていて“和藤先生”にちゃんと見える。


「ここは学校だよ」
「ごめんなさい」


「大丈夫、保健室にでも用?」
「今日朱莉と食べれないから保健室で食べようと思ったんだけどいなくて……」


「じゃぁ俺と食べよ」
「え、バレたら……」


「バレない場所があるよ」

< 37 / 315 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop