私は1人じゃない




「宮原にバレたね」
「大丈夫だよ、朱莉は言わない気がする」


「そうだな、ここにいる生徒が宮原でよかったよ、結構準備室に質問に来る生徒来るからさ」
「そうなんだ、今日は弁当渡せなかったから…」


「毎日は大変だからたまには俺コンビニでいいのに」
「勇斗さんの仕事の方が大変だと思う」


勇斗さんの家に住まわせてもらっているから弁当作りくらいは応えてあげないといけない気がする。


「杏衣ちゃん、優しすぎるよ……」
「え…?」


勇斗さんが俯きながら何かを言ったけど聞こえなかった。


「もう俺……」
「先生……?」


先生が何かを言いかけているけど言わない。


「……なんでもないよ、弁当ありがとうね」
「う、うん…」


先生が何を言おうとしたのか気になったけど、すぐに忘れて弁当を食べ始める。


その時、同居人と家主の関係性が変わりつつあることを気づかずに……




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