私は1人じゃない
「杏衣ちゃん、上がったよ、、、てか宮原来たのか」
「来たよ、杏衣とずっと恋バナしてた」
「恋バナ?」
「気になる?」
「気になるわけない、2人で楽しんでて」
勇斗さんはすぐに背中を向けて自分の部屋に入って行った。
「今日は私のインターハイ入賞を記念して杏衣にケーキを作ってもらうからね!」
「え、ケーキ?」
「前言ってたじゃん、杏衣の作ったパウンドケーキは美味しいって」
「あ、うん」
「で、久しぶりに食べたいから、作って」
「そのために来たの?」
「それもあるし、杏衣とせんせーの秘密の同居生活を見てみたいな〜という興味も……」
「朱莉、うるさいよ、作ってあげない」
「ごめん」
私と勇斗さんとの生活は普通。
ただのシェアハウスみたいなもの。
朱莉が考えているようなトキメキや変化なんてない。
………うん、あるわけない。