私は1人じゃない



「来た!杏衣!」
「体育祭来いってうるさいよー」


「楽しむイベントでしょ、それに木原ちゃんからどうか誘ってってうるさく言われてさ」
「木原ちゃん……」


担任だから心配してくれているのはありがたいけど、ちょっと心配しすぎているところがある。


まるで仲違いをしている小学生をあやすような感じがする時がある。


反抗期や思春期がある高校生の独特な雰囲気を笑顔で乗り切る先生。


高校教師のちょっとぶっきらぼうなところがない。



小学生の先生みたいな感じ。


「私、何の種目に出るんだっけ」
「玉入れと綱引きと、、リレー」



「リレー?」
「昨日練習中に美玖が怪我してその代わりに杏衣を入れといた」



「入れといたじゃないでしょ、勝手にしないで」
「ごめんごめん、もう決まったことだから頑張ってね〜!」


朱莉には出来るだけ楽な種目にしてほしいと頼んで、綱引きと玉入れまではいい。



でもリレー?


みんなの注目を浴びて結構責任重大なリレー??


足を引っ張る気しかしない。


このリレーは現役陸上部は参加できないから朱莉が参加できないから代わりに私を入れたんだと思う。



中学生までは陸上部にいたけど、ほぼサボっていたし高校に入ってからは運動は体育のみ。


しかも最近は体育をサボっているから運動なんてしていない。



暑い外に出ただけで私にとっては運動をしているみたい。



みんな張り切って、ヘアバンドとかしかちょっとオシャレな女子もいる。


ただ暑いだけの体育祭。


「はぁ」


溜息しか出ない。
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