私は1人じゃない




ハチマキ交換して気合が入ってる人が多い中、


ハチマキ交換していないからやる気がないんじゃなくて、リレーは責任を持たなきゃいけない部分があって嫌。


しかも青組は緑組と僅差で2位。


リレーで勝てば1位になれる。


バトン練習をしていないからなおさら不安。


「杏衣ならイケるよー!」


責任転嫁した朱莉が笑いながら応援しているけど今は無視して集中する。


私は6人のうちの3番目。


2人目の子からバトンをもらう。


落とさずに、もらえて一生懸命に走る。


1位の緑組の子を抜かせる。


抜かして1位の状態でバトンを貰えて1位になれた。


青組はめっちゃ喜んで応援コールが止まらない。


私はやっと大仕事を終えたと思って青組の応援に入らずその場に座り込む。


「もう帰りたいなぁ」


一仕事が終わった気分でもうだるい。



「杏衣ちゃん!!すごいね!」


興奮して私の元に来る和藤先生。


杏衣ちゃん、って言っちゃってるし。


1位の子を抜かしたから言っているんだろう。


「ありがとうございます、中学生の時陸上やってたから」


「そうなんだ、じゃ俺も頑張ろうかな」
「先生も走るの?」


「まさかのまさかでね、俺は高校大学陸上部だったから、じゃ応援してね〜」
「応援はしないでおく、敵だから」


「そうだったね、もし1位を取ったら言うこと聞いてね」
「う、うん」


「じゃ行ってくる」


結構足早そうだけど、1位は取って欲しくない。


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