私は1人じゃない
結局紅組は看板賞だけ取って、テントの片付けをして、担任の代わりに俺のクラスの2年5組で倒れた生徒たちの様子を見るために、保健室に行く。
保健室は寒いくらいにエアコンが効いていて体育祭が終わって徐々に日没に近づいていく今となっては気持ちよくない寒さだ。
「失礼します」
「和藤先生、2人とも軽い熱中症ですので大丈夫ですよ」
「そうですか、ありがとうございます、牧原と辻井、荷物はクラスの人から持って来させるからここでゆっくりしてて」
2人とも頷いて、ベッドで安静にしている。
必ずと言っていいほど熱中症で倒れる生徒がいる。
牧原と辻井は体育会系男子でずっと応援してたり走ったりしていたから体と心、両方とも燃えすぎて倒れてしまったのだろう。
紅組が看板賞を取ったと報告したら悲しんでいて熱中症じゃなくてショックで寝込んでしまっている。
「すぐ来るから準備しろよ、看板賞でもすごいから」
「俺らの点数じゃないしな〜〜」
「でも喜べよ、打ち上げ行きたいだろ」
「そうだな、早くカバン持って来て和藤っち」
「そう呼ぶな、それにお前らのパシリじゃない」
「はーい」
今だけパシリでカバンを取りに行く。
「それじゃ失礼します、真壁先生ありがとうございました」
「いいえ、当たり前のことです」