私は1人じゃない
教室に戻ろうとする時に昇降口に、霧野さんとあれは、、、
後ろ姿だからよく見えないが、横顔を見て分かった。
水樹と佐久間、俺のクラスで学校ではイケメンすぎて知らない奴はいない。
学校には来ているけど授業には出ないで殆どサボっている。
でも成績は優秀なので何も言えない。
「なにするの!」
霧野さんは怒って、2人の方を向く。
話の内容は聞こえないが多分霧野さんは不機嫌になっている。
水樹と佐久間は笑いながら霧野さんの不機嫌をいい感じで無視して何かを話してる。
そして、青のハチマキを地面に投げ捨てて、その代わりに赤のハチマキを持って帰って行った。
ハチマキ交換は縁結びとかそういう噂がある。
まさか、結ばれる?
誰かと付き合いたいと思っているのか、
「ヤバい、2人待ってる」
病人を忘れて3人の会話を見ているなんて完全に不審者。
気にしなければいい、杏衣ちゃんはモテるんだから本人が拒否しても男が寄ってくるのは当たり前。
でも、でも、心の底で杏衣ちゃんが本当に拒否して欲しいと思ってしまう。
1番近くにいるのは俺でいい、って思ってしまう。
「落ち着け、俺」
見ないふりをして、焦って教室に戻るが、なんで?、という謎のモヤモヤ感は消えなかった。