私は1人じゃない
体育祭が終わって、最初の学校。
3限目に科学基礎があるため、科学室に移動するけど、その時に3年生の教室を通らなきゃいけない。
その時の視線が体育祭にの時よりも鋭くて少し足がすくんだ。
「そんなに風雅さんの告白断っちゃいけなかったのかな」
「いいと思うよ」
彼氏がいるのにサッパリしていて分かってくれる朱莉。
朱莉のこういうところ好き。
唯一人として好きなのが朱莉で先生以外で家の事情も言っている。
最初は逃げなよ!警察行かないの?と心配してくれたけど、私が大丈夫だから見守っててと言ったらずっと見守ってくれて話を最後まで聞いてくれる優しい朱莉。
「時間が経てば忘れられるよ」
「だよね、女って怖い〜」
「杏衣に嫉妬してるんだよ」
「なにが?」
「あの先輩の周りにいる女達、みんな先輩のこと好きで色目たくさん使ってるのに話しただけで告白された杏衣が羨ましいんだよ」
「でも振ったんだからその人たちは彼女になれるチャンスまだあるじゃん、あんな怖い目する意味なくない?」
「先輩が好きな女に振られて傷付けた杏衣のことが許せないんじゃない?」
「ダメ、意味分からない」
人の気持ちって言葉で表せないくらい複雑で意味不明。
好きな人に彼女ができなかったら自分にチャンスがある!と思えばいいのに、
好きな人が傷ついたことが許せなくて敵意の目に、「あいつだよね、あの風雅を振った奴」
「あの」っていうくらい風雅さんはすごい人なの?
矛盾しているのに2つの気持ちを持って葛藤しているというかどっちにも転がっているこの現状がイヤ。
でも振ったことに後悔はないし、時間が経てば忘れられるはず。