私は1人じゃない
暴走族。
聞いたことはあるけど見たことがないし実際にいないものだと思ってた。
こんなに近くにいたとは…
暴走族総長だと知ったら目が漆黒冷たい目をしている。
「杏衣が嫌いで告白したんじゃない、杏衣は知らないと思うけど総長の彼女になると姫っていう称号が与えられる。俺の周りにいる女はそれを狙ってる。」
全く知らない世界で信じられない世界。
姫っていう称号が女にとってはそんなに魅力があるのか。
彼氏に「お前は俺のお姫様」と言われるのと総長の彼女イコール姫とは訳が違うのだろう。
総長である風雅さんの彼女になれることは姫になることであり、それ以上の意味があるんだと思う。
私には興味がないし知る意味がないけど。
「杏衣がもし付き合ってくれたら、俺は全力で杏衣を守るつもりだったけど、まぁしょうがねえな、周りの女がうるさくて公開で彼女を作れば黙ると思ったんだが、本人が断ったからしょうがねえな」
「これから杏衣が俺の仲間に襲われるとかそういうことも一切ないから安心して。」
そこは安心させてくれないと困る。
このままの世界観で息をしていきたいんだから。
「ありがとうございます」
「それじゃ行くけど、もしかして杏衣には彼氏いるの?」
「いないです」
「あの奴らはなに?」
風雅さんが指さす方向は右斜め上。
学校の屋上。
男2人組が1人はパンを食べながら、1人は頭を掻きながら、こっちを見てる。
視力は両眼1、5だからこれぐらい見える。
「……私とは関係ない人です気にしないでください」
「そうか、杏衣には迷惑はかけない。それは約束する。でも、俺が話しかけても今度から無視するな、俺も人間だから傷付いたりするんだよ」
「分かりました」
「じゃーな」