木沢彰吾、禁煙を決意する 『恋に異例はつきもので』おまけSSその1
 グシャっと箱を潰す音がした。

 目覚めの一服を吸おうと、サイドテーブルに手を伸ばしたときだった。
 追い打ちをかけるように、寝ぼけた頭に無情な声が響いた。

「だめです」
 そして、ぴしゃりと手を叩かれる。

「昨日、約束したばっかりなのに」

「……最後の1本だ」
「もう、そんなこと言っていたら、いつまで経ってもできないですよ。禁煙なんて」

 花梨は窓際に行き、さっとカーテンを引いた。
「さ、起きてください。もうそろそろお昼なんで」

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