8月25日(前編)
「ったく矢加部には参るな〜」

先生が動くたびに椅子から古びた音が鳴る。

矢加部とかいう子のことはわたしには関係ないはずだ。

だから早く、どうしてわたしがこうして呼ばれたのか説明してほしい。


なんて思っていると…

「お、矢加部!来たか」

えっ……来たんだ…?


隣に誰かが立つ気配を感じ、それが隣の席の彼女だということはすぐにわかった。

彼女からは少しキツイ香水の匂いがする。

それは教室にいる時からで、今も同じ匂いが隣からしてくる。


「夏目を呼んだ理由はその前髪だ」
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