8月25日(前編)
だから慣れってすごいと思う。

こんなことされても、もう何とも思わないのだ。

むしろ早く帰らせてほしい、とさえ思う。


「もうやっちゃおっか」

「まじ限界なんだけど」

と2人はやり取りをすると、机の中からハサミを取り出した。

その瞬間、彼女たちがこれから何をしようとしているのか悟る。


「やめてっ、お願い…」

きっとわたしの声は震えていたと思う。

「やっと喋った。でももう遅いから」


その言葉を最後に前髪を切られていく。

抵抗したくても、もう1人の子に抑えつけられていてできなかった。
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