8月25日(前編)
「俺、二股かけられてるの?」

「え?ふ、二股…?」

「長谷川と仲良く登校なんてしちゃってるよね?なんで?」


と水樹くんの綺麗な瞳が問いかけてくる。

朝陽に告白されたこと、キスされたことはもちろん話していない。

「…それは…朝陽が待ってるから」


っていうのは事実。

「そんなの無視すればいいじゃん」

「それはできない…わたし、朝陽と向き合うって決めたから。そう思わせてくれたのは水樹くんだよ?」

「向き合うって何?長谷川を好きになるってこと?確かにサポートするとは言ったけど、俺が言ったのはそういうことじゃなくて……」


そこまで言うと水樹くんは口を閉じ大きくため息をついた。

「…いいよ。紗良ちゃんが前向きになってくれたことは嬉しいし」
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