8月25日(前編)
そう言うけど水樹くんの表情は曇ったまま。

「バスケでも勝てなかったしね…やっぱり幼馴染って最強だよね」

…水樹くん?


「帰ろっか…」

と立ち上がるといつものようにドアを開けて先に行かせてくれた。


だけど…

「ごめん紗良ちゃん。今日は先に帰って?」

「え…帰らないの?」


水樹くんを見上げ瞳が重なると、そのまま抱きしめられた。


「紗良ちゃんが長谷川のことを好きって言うなら応援する。その時は言って?そしてちゃんと俺を振るんだよ?」

「水樹、くん…」


なんでこんなに胸が苦しくなるんだろう。

「じゃ、またね?」

そう言うと水樹くんはわたしから離れてドアを閉めた。
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